学生やビジネスパーソンも注目、国際放送NHKワールドが英語学習で使える理由

 NHKワールドは、もともと国外で暮らす人々に向けて日本の番組を発信していたが、近年はその役割が少しずつ変わってきたそうだ。
 「旅行や出張などで訪日する外国人の増加に伴い、日本国内で地震などの災害が発生したときの緊急報道やアプリのプッシュ通知に力を入れています。英語以外の言語でも、この取り組みを広げていく予定です。紀行番組などを中心に、一部の番組では、すでに中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、スペイン語へのVODによる『多言語化』をすすめています。」(那須さん)

 非常時、日本人がこぞってNHK総合にロックオンするように、外国人観光客にも有用な情報を提供できる体制作り。日本で唯一の公共放送として、インバウンド需要に応えるのも大事な役割だ。先日、草津本白根山が噴火して多くのスキー客らが救出されたが、なかには訪日観光客も多数いたことは報道のとおり。日本で非常事態に遭遇した外国人にとって、このようなアプリやプッシュ通知の存在は、この上なく心強く、訪日へのさらなる安心感に繋がるだろう。
 多言語化によって、日本オリジナルのコンテンツをあらゆる国の人々に観せ、日本に対する興味を持ってもらうことができるNHKワールド。海外での視聴者には、特にどのようなジャンルの番組が人気なのだろうか。
 「国内で放送されている、独自のフォーマットの番組がウケています。たとえば『ドキュメント72時間』や、『世界ふれあい街歩き』のように、まったく旅の主人公が姿を現さないというスタイルも、海外の視聴者には新鮮に映るようです。」(那須さん)
 「日本のおばあちゃんが妙に人気だったり(笑)、医療系や健康系のネタも反響が大きいです」(高木さん)

 意識して日本らしさを見せるのではなく、むしろありのままの日本を見せる番組のほうが、海外でも人気とは意外。だが、それも常日頃から“普遍的でわかりやすい番組作り”を志しているNHKならではなのかもしれない。

 東京五輪が開催される2020年が、日本にとって大きな節目の年となることは間違いない。グローバルな視野を持っているとは言い難い日本人が、それまでの2年弱にできることはなんだろうか。外国語習得はもちろんだが、客観的に日本を見る視点を養ったり、外国の文化に興味を持ったり。その一助となるのが、このNHKワールドなのかもしれない。

 NHKワールドは、4月よりチャンネル名を『NHK WORLD-JAPAN』と名称を変える。日本発の国際放送として、さらなる大役を担っていくこととなるだろう。
田路良一郎さんのオススメ
『NHK NEWSLINE』
NHKワールドの看板番組でもあるニュース番組です。主に日本で報じられているニュースを英訳しているので、聞き覚えのある単語や事象が多く、英語のリスニングの練習にもなると思います。
那須敏正さんのオススメ
『GRAND SUMO Highlights』
場所中は毎日放送している大相撲ハイライトは、英語による実況がとても面白いです。数名のキャスターが、日替わりで実況を担当するのですが、それぞれ個性があり、エキサイティングだったり、びっくりするようなうんちくが聞けたり。英語実況はNHK総合でも副音声で楽しめますので、ぜひ一度!
高木千佳さんのオススメ
『#TOKYO』
東京の最新情報を旅行者向けに紹介している、英語初心者の方にもわかりやすい番組です。暮らしている人にはごくごく普通に見える風景や建物も、この番組の視点だと新しく見えるかもしれません。
(文:よしひろまさみち)
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

当サイトで公開されている情報(文字、写真、イラスト、画像データ等)及びこれらの配置・編集および構造などについての著作権は株式会社oricon MEに帰属しております。これらの情報を権利者の許可なく無断転載・複製などの二次利用を行うことは固く禁じております。