TOEIC対策の専門家が教える“学習リズムをつかむコツ”
Vol.1:学習リズムをつかむコツはTOEICのコミュニティにあり
ヒロ前田先生(以下、前田) ここ数年、英語に限らず資格の勉強のために有料自習室を使う人が増えています。自宅以外の場所でTOEICの独学に励む人もいますし、毎週公民館で勉強会をするグループも結構あるんです。TOEIC学習者は、英検やTOEFLなど、ほかのテストに比べると対策本の著者との接点を求める傾向があります。実際、自分が好きな著者のイベントに毎回のように足を運ぶ人も結構います。そこで出会う学習者同士がつながり、小さいコミュニティが形成されているようです。
ヒロ前田先生が経営する英語に特化した自習スペース「T’z 英語ラウンジ」にて
前田 TOEICそのものはテストであり、受験は孤独な作業です。一方、英語は本来コミュニケーションのツールですから、孤独に学ぶよりは、人と一緒に学ぶ方が実践的です。コミュニティを作って英語を使いながら学ぶことは自然だと言えます。学習の進捗状況や悩みを人とシェアしたり、スコアを競ったりするのもコミュニティの利点でしょう。
―――コミュニティ以外でイベント等も人気のようですね。
前田 TOEIC関連イベントはどれも人気がありますが、特に目立つのはTOEICのスピーキング対策です。意外かもしれませんが、募集の翌日には満席になります。「100点アップ」とか「模試&セミナー」などよりも、アウトプットのトレーニングに関心が高い。反復練習、アイディアを言葉にする練習、即答で切り返す練習など、スピーキング力を高める訓練は、実践での英語力が表れますから。
「TOEIC L&R(リスニングとリーディング)」で800点とか900点取れても英語力が上がった実感を得られない人って結構いるんです。特にそういう人たちの間で「TOEIC S&W(スピーキングとライティング)」は英語力を試せるということで人気が出てきています。L&Rはすべてマークシートですが、S&Wは選択肢から選ぶのではなく自分で考えて答えないと解答できません。自分が養った英語力が「使える英語」なのかどうか試すためにS&Wを受験する人が増えているようです。
あとは、珍しい企画として、Read Aliveという英語の朗読イベントを開催したこともあります。元NHKのアナウンサーを講師に招き、英語で書かれたストーリーを朗読するセミナーです。多読とも音読とも違って、あたかも登場人物が話しているかのように読み上げなければいけないので、想像を働かせて臨場感を表現する演技も含まれます。
ヒロ前田(ひろ・まえだ)
TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」経営。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。2005年にはTOEICを教える指導者を養成する講座をスタートし、トレーナーを務めている。2008年グランドストリーム株式会社を設立。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書に『TOEICテスト 究極の模試600問』(アルク)、『TOEICテスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』(KADOKAWA)、共著に『TOEICテスト 新形式問題やり込みドリル』(アルク)等がある。
■T’z(ティーズ)英語ラウンジ
住所:東京都世田谷区南烏山5-23-9 鶴間ビル2階
アクセス:京王線・千歳烏山駅から徒歩4分
http://tz-eigolounge.jp/(外部リンク)
(文:柏野裕美)