【第2回】英語学習は何歳から? 幼児から始める英会話、そのメリットは<前編>
“言語の臨界期は9歳”説 音の習得は幼児期がベスト
―――何歳の子どもから教室に受け入れているのでしょうか。
田中夏生氏(以下、田中) 下は2歳からです。英語を話すというよりも外国人と触れ合うことに慣れることが目的です。東京は外国人が普通に街を歩いていますが、金沢はまだまだ少ない。また、幼児のお母さんには、英語に慣れてもらうきっかけにもなっています。お母さんが英語好きになると、子どもも興味を持ち、好きになる傾向がありますので。
幼稚園くらいになると、たくさん単語を覚えさせようとする親御さんもいますが、この年代に英語学習を開始する大きなメリットは、単語ではなく「音の習得」だと思います。
田中 さまざまな説はありますが、そのひとつに言語の臨界期は、9歳頃ではないかという仮説があります。実際に、私の経験からも、第2言語を習得するのにベストなのは、この年齢かなという感触はあります。ただし、それ以降の年齢から学び始めることが不利ということではなく、よりネイティブに近い発音が習得できるという話です。
兄弟で同時に習い始めても、下の子はネイティブの発音を真似るのが上手なのに、9歳前後の上の子は発音の習得に苦労しがち。いわゆる“オウム返し”ができなくなるんです。幼い子供は、耳がいいというよりも、音を差別しないので聞こえるままに発音できるんです。覚えられるボキャブラリーの数は限られますが、“th”のような日本人が苦手とする発音は、きれいに言えます。
This is をカタカナ読みで「ディス イズ」と言うと、自分が知っている発音とは異なるため「“ディス イズ”って何?」と聞いてくる子どももいるんですよ。
あくまでも、私の肌感覚ではありますが、母国語の発達が、他言語を学ぶ時の妨げになっているように考えています。特に小学校3年生から学ぶローマ字の習得は、日本語読みの発音に大きく影響を与える気がしています。
英会話教室「Lesson4U」のレッスン風景
田中 レッスンは50分。小学校1年生から12年間通えば、12年後には半年から1年留学したのと同等の英語力が身についている、というのを目標にしています。英語の「話す・読む・聞く・書く」という4つの技能の基礎をマスターする小学1年生から6年生までのプログラムは完成しています。
文字がわかると文章を読むのが楽しくなるので、年少さんは文字の練習や簡単な語彙を覚え、年長さんになったら短い文章を勉強します。
小学校1年生で英検5級や4級を受ける生徒もいます。英検4級は中学2年で受けるのが一般的でしたが、最近は小学生が受験するケースも。私の教室では、小学校6年生で準2級に合格する子も増えてきました。
小学生が英検を受ける時の最大の壁は、“問題文の読解”です。例えば、単語を並び替えて文章を作る問題では、正しく並び替えはできるのに、「文章の1番目と3番目にくる単語を答えなさい」となると、問題の意味がわからなくてつまずく生徒が意外といるんです。
英語は短期間で身につくものではありませんし、日本語と同じように成長にあわせて選ぶ言葉も話し方も変わってきます。英会話力を身につけるというのは、長期的に学び続けることが大事です。途中で挫折することなく継続していける、その手伝いをするのが英会話教室の果たすべき役割なのではと考えています。
田中夏生(たなか・なつき)
横浜国立大学、ビクトリア大学(カナダ)卒業。TOEIC990点(満点)。カナダにて英語教授法を学び、2006年に「Lesson4u」を設立。講師として幼児から大学受験生に英語を教えるだけでなく、英語教育のスペシャリストとして様々な教育機関にも助言・指導を行っている。
■Lesson4u :http://www.lesson4u.jp/(外部リンク)