2017年08月18日 08時20分

非母国語圏の英語勉強法 スペインの教育事情を紹介

英語を母国語としていない国の勉強方法は? [拡大する]

英語を母国語としていない国の勉強方法は?

 海外に行ったとき話せると便利な英語も、母国語としていない国は日本を含めて意外と多い。そのような国の子どもたちは、どんな英語の勉強方法をとっているのだろうか。今回は、スペインの小学校で、どのように英語教育が行われているのか紹介しよう。

■幼稚園の頃から英語は必須

 スペインでは、フランコ独裁時代の1960年代から英語教育が始まった。それ以前は、フランス語を第一外国語として学ぶことが多かったため、年配の人々は、英語は話せないがフランス語なら話せるという人が多い。現在のスペインでは、3歳からのプリスクール(幼稚園や保育園)に通うのが一般的で、公立も私立もそのまま同じ敷地内にある小学校に上がるエスカレーター式になっている。

 国語(スペイン語やそれぞれの州の公用語)の授業に加えて、外国語としての英語の授業も平行して行われる。プリスクールの英語の授業は、クラスを半分に分けて10〜12人ほどの少人数で行われる。子どもたちの興味を引きやすいように工夫された指人形、DVD、CD、フラッシュカードなどを使って、英語に親しむところから始まり、小学校に入ると教科書を使って学ぶようになる。文法よりも会話を優先して学んでいく。

■英語で行われる英語の授業

 スペインの場合、国が定めた教育要綱はあるものの、日本ほど均一的な授業が行われているわけではなく、公立私立それぞれの学校が決めた独自のカリキュラムで英語の学習が行われる。基本的に英語の授業は、英語で教えられる。また学校によっては、小学校低学年から理科・社会や情報科学といった授業を英語で学ぶところもある。こうしてボキャブラリーの範囲が広がっていくのだ。

■イギリスなどへのホームステイも多い

 スペインの学校の夏休みはとても長く、約3ヶ月もある。イギリスやアイルランドに近いという立地的に優位な点もあり、小学生を卒業した夏休みあたりから、短期でイギリスやアイルランドにホームステイに出かける子も少なくない。普段から放課後に習い事として英会話を学ぶ小学生も多く、場合によっては、市町村や国が、夏休み期間中で英会話学校の補習に通う補助金を出すこともある。

■スペイン人の積極性も語学習得に優位に働く

 日本人のなかには、謙虚な態度を“美徳”とする人もいるが、スペイン人の場合は、英語をたとえ少ししか話せなくても「私は英語を話せます!」と言い切るような積極性がある。これは教育環境の違いもあるだろうが、とにかくスペイン人は、子どもの頃からよく話す。小学生になる前でも、クラス全員の前で自分の意見を発表するという機会が多い。そのため積極性や自己主張というものが自然と生まれ、それが語学習得に役立っていると思われる。とにかく文法の間違いも気にせず、大きな声で英語を話すのだ。

 英語は自分からどんどん話さないと上達しない。言葉はあくまでもコミュニケーションのための道具だ。スペイン人のように間違えなどは気にせず、自分の主張をしっかりと持って積極的に英語を学び、話していこう。

(林 有紀)
スペイン・バルセロナ郊外在住。大学でスペイン現代史を専攻、在学中に1年間スペインに留学。大学卒業後、書店勤務と英語講師を経験した後バルセロナに移住。英語、スペイン語、カタルーニャ語、日本語の4ヶ国語を操る通訳&ライター。2児の母。趣味はサッカー観戦とぬか漬け。

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