【早川幸治先生(7)】TOEIC人気講師が教えるスコアアップのコツ
万全の準備でテストに臨んでも、実力を100%発揮できないこともあるという。TOEIC満点講師・早川幸治さんに、スコア860点を目指す人へ向けたリスニング対策をうかがった。
Vol.7:【860点目標者のリスニング】全問正解でなくとも満点は取れる
――860点を越えるには、やはり“いかにスコアを落とさないか”がカギになるのでしょうか。
早川幸治先生(以下、早川) TOEICは、簡単な問題を50問正解しても、難しい問題を50問正解しても点数は同じです。リスニングに関しては100問すべて正解しなくても満点は出るんです。96問から97問正解すれば、満点は取れたりします。ですので、ミスが許されるわけです。
1問ぐらい聞き取れなくても気にしなくても大丈夫。ただ、860点というスコアは、「ほぼ聞き取れる」ことを表すため、答えを選ぶために聞くというよりは、ストーリーをしっかり理解できる“リスニング力”を高めておきたいですね。
聞き取れていれば答えがわかりますから、悩む時間は必要ありません。TOEICは英語の知識とスキルを試す「健康診断」だということを意識してください。そうすれば、変なプレッシャーを感じることなく受験できるのではないでしょうか。
早川 厳しい指摘になりますが、TOEICのテスト中に、悩んでいるというのは、悩んでいるフリをしているだけなんです。リスニングは「聞ければ解ける、聞けなければ解けない」というシンプルなものですから、聞けなかった場合や聞き逃してしまった場合は、感覚で選んで次の問題に意識を映すことが大切です。
TOEICでハイスコアが取れるレベルになると、テスト中に答えがわからない問題は、数えられる程度になってきます。それがあだになって、解けなかった問題が尾をひいて、頭の片隅で音声を思い出そうとしたり、考えたりしながら問題を解いていくことも。ふと気がつくと、肝心な問題文を聞き逃すなんてことにもなりかねません。
この“悩む”という行為は、時間が無駄になるだけではなく、ミスを誘発する可能性があります。潔く諦めるというのは、中級、上級に関係なく必要なスキルと言えます。学習中の努力はテスト中に報われますが、テスト中の努力は報われません。諦めることもTOEIC攻略のスキルと捉えてもいいかもしれません。
早川 最近のPart3とPart4は、1つの設問を聞いて3つの問いに答えるスタイルです。
かつて、多くの受験者を悩ませた「月曜日の2時のミーティングの予定なんですけれども、部長が来れなくなったので火曜日の3時に変更にしたいのですが」「3時では戻れないから5時でどうでしょうか」という混乱しやすい会話問題は、最近は見なくなりました。
全体の会話やトークが音声で流れた後、どういう場面なのか、登場人物は何をしようとしているのかなどが問われます。設問と選択肢は問題用紙に記載されているので、事前にざっと設問に目を通しておくとよいでしょう。短文の設問と選択肢は聴きながらでも回答しやすいと思います。
会話やトークの流れは、冒頭で目的や概要が伝えられ、徐々に詳細へと展開していきます。そのため、1問目が目的や概要を問うもの、2問目と3問目が詳細情報を問うものとなるのが基本です。Part3もPart4も、会話やトークの流れと設問の順番がマッチしていることが多いため、1つ目の答えがわからなくても、2つ目はわかるなど、聞き取れれば答えられる素直な構成になっています。
早川幸治(はやかわ・こうじ)
ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。これまで全国120社以上の企業、大学、高校で英語研修や授業を担当。著書はベストセラー「2カ月で攻略 TOEICテスト730点!」など多数。高校2年で英検4級に不合格から学習をスタート。TOEIC 990点(満点)、英検1級。プレゼンセミナーや、ルー大柴さんとトゥギャザー研修も実施中。
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(文:柏野裕美)