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「“得体が知れない”は嬉しい」元祖バイプレイヤー・イッセー尾形が海外で絶賛される理由

ドラマ『居酒屋ぼったくり』に出演するイッセー尾形 (C)oricon ME inc. [拡大する]

ドラマ『居酒屋ぼったくり』に出演するイッセー尾形 (C)oricon ME inc.

 一人舞台の第一人者であり、元祖バイプレイヤーとしてドラマや映画でも長年活躍する俳優のイッセー尾形。昨年は、遠藤周作原作、スコセッシ監督による映画『沈黙−サイレンス−』に出演し、海外の批評家やメディアから絶賛されたことも記憶に新しい。そんなイッセーが、BS12 トゥエルビで放送されるグルメドラマ『居酒屋ぼったくり』(4/14スタート)に出演。つねに“人間”を演じることにこだわってきた彼は、本作でどんな芝居を見せるのか。海外での活動で得たもの、演技への向き合い方についても聞いた。

◆映画『沈黙』で海外から絶賛、「言葉が通じないところが面白い」

 「“人間”を作る仕事をしていますから、映画やドラマも、“人間”に焦点を当てた作品に惹かれるんです」

 そう語るのは、俳優歴47年、元祖バイプレイヤーとして知られるイッセー尾形。人気小説をドラマ化した『居酒屋ぼったくり』(4/14よる9時スタート・BS12 トゥエルビ)では、下町にある居酒屋の常連客・シンゾウを演じている。

 「もちろん主役はいますが、台本を読んだ時に、他の出演者もお客さんも全員が等しく主人公である。その平等感に惹かれました。撮影中も、演じるというより『ぼったくり』に通っている感じ。僕たちが普通に飲んでいるところにカメラが入ってくるような出演者主導の現場で、即興芝居やアドリブもやりたい放題(笑)」

 日本のドラマでも存在感ある演技がお馴染みのイッセーだが、海外からの評価も高い。昨年公開された映画『沈黙−サイレンス−』では、江戸初期、外国人宣教師を弾圧する長崎奉行・井上筑後守として出演。その演技は、アカデミー賞の前哨戦とも言われるロサンゼルス映画批評家協会賞で、並みいる助演男優の中から見事次点に選出されている。

 「『沈黙』のとき、人物の捉え方の中心に据えたのは、“英語をしゃべる日本人”だということ。海外の作品に出演すると、言葉が通じないところがすごく面白いんです。たとえば日本人同士だと、10の課題が与えられると10全部考えなきゃいけない。ところが言葉が通じない海外だと、相手が10渡したつもりでも、こっちに届くのはせいぜい1ぐらい(笑)。役にアプローチする上で、絞り込みができるからラクなんですよ」

◆イッセーにとって演技とは、劇中人物を“生き生きとさせる”作業

 イッセーにとって演技とは、話の中に登場する人物を“生き生きとさせる”作業なのだそう。生き生きした人間を演じるためには、自分も生き生きしていなければならない。よって、イッセーが芝居をするときは、どうしても即興やアドリブが多くなってしまう。『沈黙』でもその姿勢は変わらなかった。

 「そもそも、監督さんが率いる撮影チームが素晴らしくて、何やってもOKなんです。たとえば僕は、カットのたびに“こうやってみたらどうだろう?”というアイディアが湧いてしまう。日本での打ち上げの時に監督さんにあいさつに行ったら、すごく冷静に『君はカットカットで芝居が違うね』と言われましたけど(笑)」

 今までどんな映画でも見たことのない、得体の知れないキャラクターだったと伝えると、イッセーさんの顔がほころんだ。

 「“得体が知れない”というのは、いい言葉です。そう言われるのは嬉しい。だってそれは、一つ新しいアプローチを発明できたということだから」

◆海外でも一人舞台公演、「台詞の意味に捉われない」楽しみ方

 イッセーと言えば、日本における一人芝居の第一人者であり、1990年から海外での公演も行っている。当時、言葉の壁を感じることはなかったのだろうか。

 「海外公演を始めた頃は、同時通訳の音声が流れるイヤホンを渡して、一応お客さんに僕が何を言っているかがわかるようにしていました。海外のお客さんは、知的好奇心がすごいし、劇場に行くことが生活の一部になっている。いつも行っている劇場に、日本から一人芝居という独特のスタイルを持った俳優がやってきたというので、観る前からボルテージが高いんです(笑)。台詞の意味とかそんな小さいことに捉われるのではなくて、僕が全身から醸し出す雰囲気やニュアンスを観て楽しむんですね。お客さんによって反応がバラバラだから、リアクションが得られた途端に、僕もどんどんアイディアが湧くんです」

 イッセーの一人舞台は、観客と奏でる笑いのセッション。言葉の意味ではなく、人間の持つ存在感によって、観客を笑いの渦に巻き込んでいくわけだ。

◆「“外国人から見た日本人”を演じるときに生かせるかもしれない」

 海外での一人舞台公演や『沈黙』のみならず、台湾のエドワード・ヤン監督による『ヤンヤン 夏の想い出』への出演や、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』で主演するなど、国際的な活躍が目立つイッセー。本格的に語学を勉強しようと思ったことはなかったのだろうか?

 「ないですね。相手が言っていることをわかりたい気持ちはありますが、こっちのレベルに向こうも合わせてくれるし、雰囲気で何とかなる部分も多いので。ただ、英語の小説や台本は読めるようになりたい気持ちはあります。英語と日本語で文法が違うということは、頭の構造が違うということだから。外国語の文法を理解することで、外から日本人を眺めることができるんじゃないか。そうすると、“外国人から見た日本人”を演じるときに生かせるかもしれない、なんて思ったりします。新しい人物の捉え方は、常に模索しているので」
(文:菊地陽子)

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