2017年08月10日 14時34分

ブロードウェイで日本人が成功する秘訣

『CHICAGOシカゴ』に登場した 米倉涼子/PH:白石文丈 [拡大する]

『CHICAGOシカゴ』に登場した 米倉涼子/PH:白石文丈

 女優の米倉涼子(42)が2日、米NY・ブロードウェイミュージカルの来日公演『CHICAGO(シカゴ)』のプレスコールに登場した。セクシーな衣装に身を包み、ジャズの名曲とともに超一流のダンサーたちと織りなすゴージャスなパフォーマンスで魅了。ブロードウェイでも長く愛され続けている『シカゴ』のメインキャストとして、堂々としたステージングを披露した。そんな彼女の成功の理由を探ってみた。

 日本人俳優が国際的に活躍する機会が多くなっている。ミュージカル『シカゴ』で、2012年にブロードウェイデビューした米倉涼子も、その1人。先ごろ18年公開予定の『デッドプール2』で忽那汐里(24)がキャスティングされたことが発表されたのが記憶に新しいが、日本人俳優がハリウッドで活躍するケースは珍しくなくなってきた。

 だが、舞台は別。生身の演技を目の前の観客の前で披露する舞台劇は、俳優が持ちうる演技力を試されるだけに、二の足を踏む俳優が少なくない。ましてやブロードウェイミュージカルとなると、そこに英語力が求められるばかりか、歌唱力、ダンス、アドリブなど、演者としての才能全てが必要となる。しかもブロードウェイの客は世界一厳しく、反響が悪いとすぐに役者が降板、最悪の場合はその演目自体が打ち切りとなる。米倉がブロードウェイ進出を果たした後、渡辺謙(57)が『王様と私』で主演を務め好評を得たが、渡辺クラスのベテラン俳優でも、そのレベルまで高めるのが難しいのがブロードウェイという場の現実だ。

 しかも『シカゴ』といえば、NY・アンバサダー劇場で20年ものロングランを続け、今もなおブロードウェイで人気の作品。オリジナルはブロードウェイのレジェンドと呼ばれる名演出家ボブ・フォッシーのミュージカルで、75年に初演された。本公演は、96年より続く再演版で、これはブロードウェイの再演ミュージカルとしては最長記録となる。

 その名演目で主演を務めた米倉だが、今年7月のブロードウェイ・アンバサダー劇場で5年ぶりにロキシー役を熱演。8月3日より東京・東急シアターオーブで凱旋公演として「ブロードウェイミュージカル『CHICAGO シカゴ』20周年記念ジャパンツアー」を披露している。

 その公演初日のゲネプロの一部がマスコミに公開され、「私、失敗しないので」という心の声が聞こえてきそうなほど、米倉の堂々とした演技を見ることができた。直後の囲み取材で、米倉はこう語った。

 「私はかつて『シカゴ』ファンの一員でした。観ていても、演じていても、『シカゴ』は本当に無駄のないミュージカル。主役だけじゃなくキャスト全員、さらにミュージシャンまで全員がひとつになっている作品だと思います」。

 このコメントはまさにその通り。実は、公演直前まで行われたこのゲネプロは、全員が初めて揃ったリハーサルでもあった。米倉とW主演となるヴェルマ役のアムラ=フェイ・ライトが「昨夜着いたばかりで、じつは時差ぼけで眠い」と冗談交じりに語ったが、それだけではない。米倉が初対面というキャストも多かったのだ。そんな中で繰り広げられたゲネプロだったが、さすがはオリジナルキャストの貫禄。観られたのは一部だというのに、ほれぼれする完成度だった。

 特に米倉とアムラが歌い上げた「ナウアデイズ」「ホット・ハニー・ラグ(フィナーレ)」は、圧巻の一言。とはいえ、途中いくつかのハプニングもあった。終曲のときに、二人が受け取り、観客に投げる手はずのバラの花束の受け渡しに失敗。だが、そこも米倉は笑顔で乗り切る余裕をみせる。

 実際のところ、米倉の演技やダンスには安定感があるものの、全編英語による演技は不安があったのは否めない。だが、何度も演じている役だけに、自分のものにしているのが見て取れる。しかも、5年前のブロードウェイデビューでも共演したアムラは「彼女の英語は素晴らしいわ。ここまで来るのがどれだけ大変だったか理解できるのは私だけよ」と絶賛。キャストとの雑談も全く問題なく英語でこなしている彼女をみると、語学力、コミュニケーション力、そして演技力、全てを備えた40代日本人女優を代表するベテランの風格を感じる。

(文/よしひろまさみち)

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