<後編>国立理系の一流大学に合格、受験生の父親へインタビュー「学習塾の選び方は?」「息子との接し方は?」
前編「学習塾の選び方」、後編「受験生との接し方」の2回にわたって話を聞きました。その後編を掲載!
<基本データ>
50代
東洋大学出身/エンタテインメント系情報会社副社長
息子さんは都立の進学校から東京工業大学に現役で合格。
50代
東洋大学出身/エンタテインメント系情報会社副社長
息子さんは都立の進学校から東京工業大学に現役で合格。
息子の接し方は「新聞の知識が大事」「どんなに興味のないことでも聞く耳を持つ」
東工大レベルの学力を身に着けるためには、現実的には塾で専門的な授業を受けるしかなく、そこで親の出番はほとんどない。父親も「私は文系だし、勉強のことでアドバイスできることはなかった」と言いますが、だからと言って無関心でいたわけではありません。子供のモチベーションを上げるために大事なのは、子供と同じ目線で話をすること。そのためにはまず、子供が話しかけてきた瞬間をキャッチし、コミュニケーションを図ることが必要です。
「息子が“塾の英語の先生が面白い”と言ったときに、ちょうど大学受験に向けた親のためのガイダンスがあったから、“どんな先生か見てみようか”と参加したんです。そこで話を聞いてみたら、息子が言っていた先生は確かにユニークで、話も面白い。そうすれば子供とも“本当に面白い先生だった”と会話できますからね」
コミュニケーションの糸口がつかめれば、子供の状態を把握することにも役立つはず。一見、複雑に見える大学受験のシステムも「一般の新聞に載っているレベルの知識でも、十分に話をすることはできる」とこの父親は言います。「その年のセンター試験の傾向だったり、志望校の倍率くらいなら、普通に新聞を読んでいるだけで分かりますからね。さりげなく“そういえば今年のセンター試験って……”と話をすれば、子供も“こいつ、ちょっとは分かってるな”という気持ちになる。それだけでも違うと思いますね。それは受験のことだけではなくて、普段から気を付けています。先日、息子が“ゲームアプリを作った”と話しかけてきて。私はビールを飲みながらテレビを観ていたんですが(笑)、そこで“へー、面白そうじゃん”と言えるかどうかで、こどもとの関係も変わってくるんじゃないかと。それはたぶん、妻に対しても同じことが言えると思います。どんなに興味がないことでも(笑)、相手が話しかけてきたときは遮断せず、自分の知識の中で話を合わせる。仕事と同じかもしれないですね」。
ゲームばかりしている息子に父親は「勉強しろ」とは言わず 強制するよりもこどもを乗せる
「ゲームをしている子供に、冗談っぽく“大丈夫なの?”と言うことはありましたけれど、本気で勉強しろと言ったことはほぼないですね。受験の時期になると自分でゲームを控えるようになったし、親が無理にやめさせてもしょうがないので。何かを強制するよりも、こどもと目線を合わせて、乗せてあげたほうがいいと思いますよ」
高望みせず、ああしろこうしろと指図せず、子供の自主性に任せ、親はそれを手助けする。「そんなことが出来たら世話ないよ!」と思う方もいるだろうが(正直、筆者もそう思います)、「新聞を読んでとりあえず話を合わせる」「勉強しろと上から言わず、冗談っぽく“大丈夫なの”くらいに留める」など、リアルな体験を基にした父親のやり方には、「これなら自分にもやれるかもしれないし、確かに効果がありそう」という説得力がありました。すべての基本は、子供を信頼し、ひとりの人として尊重すること。“こどもにはこどもの人生があって、親にはどうにもできない”という、いい意味の諦めが肝心なのかもしれません。