ファッション業界が注目! 新潮流「ファッション・ロー」って何?

「Fashion Law(ファッション・ロー)」という言葉が、世界的に注目を集めています。洋服やバッグなど、ファッションアイテムのデザイン等の法的保護について研究するもので、日本でも昨年、服飾デザインの法的権利に関する研究組織が発足するなど、デザインの権利を守る動きが広がってきました。とはいえ法律のことだけに、素人にはわからない事も多く…。日本におけるファッション・ローの第一人者で、K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院で教鞭を執る、金井倫之客員教授に話を聞きました。

新しい知的財産の発想 注目の「ファッション・ロー」って?

  • K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 金井倫之客員教授

 「ファッション・ローとはわかりやすく言うと、ファッション分野にまつわる法律(の学問)のこと。アメリカのロースクールはスポーツやエンタテインメントなど、特定の業界に関連する法律を学ぶコースがありますが、その1ジャンルとして2000年代に誕生したんです」と金井教授(以下同)。著名ブランドバッグのロゴやデザインをそっくりコピーした模倣品が“法律的にアウト”なのは多くの人が知っているけれど、類似したバッグの形や洋服のデザインはOKとNGの境界線が曖昧なもの。この“デザインの権利”についてルールを明確化すべき、という発想が元になっています。

 ヨーロッパでは古くから議論されていたものの、法整備が国によって異なることもあり、足並みが揃いにくかったファッション業界の知的財産問題。もともと、実用品である洋服やバッグなどのデザインは著作権が認められることが少ないという背景があるほか、形状やデザインの創作性を主張する「意匠権」の登録が大変…という実情があるんだとか。

 「意匠権」の登録は時間がかかり、アメリカなら出願から登録までで約1年程度、日本でも8カ月程度費やすことになります。ファッション業界は流行の移り変わりが早いため、お金と手間をかけて何種類も出願しても、半年後にそのデザインすべてが“流行遅れ”になっていたり、ヒットせずに販売終了になる可能性が…。そんな事情もあり、これまで意匠権は積極的に利用されてきたとは言い難いものでした。

 「インターネットの発達でブランドの最新コレクションが瞬く間に世界中に伝えられる今、発表後すぐにデザインを真似されるというケースも多いんです。ファッション・ローは世界基準で考えなければならない問題なんですよ」。

GUCCI 対 GUESS 世界的に話題となったファッション・ロー裁判

 ファッションにまつわるデザインの権利について、有名なのが2009年から始まったイタリアのブランドGUCCI(グッチ)と米国のブランドGUESS(ゲス)の商標紛争。GUCCIが緑と赤のストライプや、Gの文字をデザインした“ダイヤモンド・パターン”などのデザインを真似ている!とGUESSを訴えたもので、人気ブランド同士の戦いだったこともあり、世界中から注目される裁判に…。ファッション・ローの観点から見ても、興味深いケースとなりました。

 世界4ヶ国で4年に渡り続けられた裁判は今のところ、中国と米国ではGUCCIが勝利。フランスとイタリアではGUESSが勝利する結果に。同じような主張をしていても国によって解釈が異なることが改めて浮き彫りになったようです。「面白いところでは、筆記体の英語で書かれたGUCCIとGUESSのロゴの類似判断は、英語圏かそうではないかで判決がわかれています。アルファベットを使用する国では需要者がすぐに文字を認識できるので呼び方も違うこともあり非類似と判断されました。一方で、中国では需要者がアルファベットに親しみが低いこともあり、文字として認識するというより見た目が似ていることから類似と判断されました」。

 2011年にはクリスチャン・ルブタンが商標登録を行っていた「赤色の靴底(レッドソール)」を巡ってイヴ・サンローランを訴え、2014年秋にはコンバースがブランドの代表的なスニーカーデザイン「チャックテイラー・オールスター」の商標権を侵害しているとして、ラルフローレンを始めとした31社ものブランドや小売業者を訴えるなど、ファッション・ローにまつわる係争は世界的に増えています。

 今後ますます注目されるであろうファッション・ローの世界。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか? ファッションデザインを巡る判断はこれから判例を積み上げて成熟させていくことになりますが、法律家はもちろんのこと服飾関連の仕事に就く人が学ぶための体制が整いつつあるんだとか。金井教授が事務局長を務めるFashion Law Institute Japan (FLIJ)では、11月に『ファッション・ロー講座』を開催予定。「私がお話を聞いてみたい方に登壇をお願いしたので、私自身も楽しみにしています」(詳細はhttp://www.ip-edu.org/flij_seminar(外部リンク))。

 現在、FLIJには海外有名ラグジュアリブランドや国内アパレル企業などがメンバーとして参加し、勉強会など開きノウハウの共有やネットワーキングを行っています。「アパレル企業の方には是非ご参加を検討していただければと思います」(金井教授)。ファッション・ローの概念は今後、“ファッション業界の常識”として広く浸透していくはずです。

K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院

金沢工業大学が2004年に東京・虎ノ門に開設した、社会人向けの1年制大学院。一流の実践力と思考法を学ぶ【ビジネスアーキテクト専攻】と、数多くの知的財産プロフェッショナルを輩出してきた【知的創造システム専攻】を改組・統合し、2016年4月に【イノベーションマネジメント研究科】が新たにスタート。約100科目×総勢70名を越える教員陣によるハイクオリティな授業が魅力となっている。MBA/知的財産マネジメントの修士号を1年で取得可能。定員は40名。



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