ファッション業界が注目! 新潮流「ファッション・ロー」って何?
新しい知的財産の発想 注目の「ファッション・ロー」って?
ヨーロッパでは古くから議論されていたものの、法整備が国によって異なることもあり、足並みが揃いにくかったファッション業界の知的財産問題。もともと、実用品である洋服やバッグなどのデザインは著作権が認められることが少ないという背景があるほか、形状やデザインの創作性を主張する「意匠権」の登録が大変…という実情があるんだとか。
「意匠権」の登録は時間がかかり、アメリカなら出願から登録までで約1年程度、日本でも8カ月程度費やすことになります。ファッション業界は流行の移り変わりが早いため、お金と手間をかけて何種類も出願しても、半年後にそのデザインすべてが“流行遅れ”になっていたり、ヒットせずに販売終了になる可能性が…。そんな事情もあり、これまで意匠権は積極的に利用されてきたとは言い難いものでした。
「インターネットの発達でブランドの最新コレクションが瞬く間に世界中に伝えられる今、発表後すぐにデザインを真似されるというケースも多いんです。ファッション・ローは世界基準で考えなければならない問題なんですよ」。
GUCCI 対 GUESS 世界的に話題となったファッション・ロー裁判
2011年にはクリスチャン・ルブタンが商標登録を行っていた「赤色の靴底(レッドソール)」を巡ってイヴ・サンローランを訴え、2014年秋にはコンバースがブランドの代表的なスニーカーデザイン「チャックテイラー・オールスター」の商標権を侵害しているとして、ラルフローレンを始めとした31社ものブランドや小売業者を訴えるなど、ファッション・ローにまつわる係争は世界的に増えています。
今後ますます注目されるであろうファッション・ローの世界。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか? ファッションデザインを巡る判断はこれから判例を積み上げて成熟させていくことになりますが、法律家はもちろんのこと服飾関連の仕事に就く人が学ぶための体制が整いつつあるんだとか。金井教授が事務局長を務めるFashion Law Institute Japan (FLIJ)では、11月に『ファッション・ロー講座』を開催予定。「私がお話を聞いてみたい方に登壇をお願いしたので、私自身も楽しみにしています」(詳細はhttp://www.ip-edu.org/flij_seminar(外部リンク))。
現在、FLIJには海外有名ラグジュアリブランドや国内アパレル企業などがメンバーとして参加し、勉強会など開きノウハウの共有やネットワーキングを行っています。「アパレル企業の方には是非ご参加を検討していただければと思います」(金井教授)。ファッション・ローの概念は今後、“ファッション業界の常識”として広く浸透していくはずです。
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