「学習塾の選び方は?」「息子とはどう接したらいいの?」 国立理系の一流大学に合格した文系の父親に直撃インタビュー!<前編/学習塾の選び方>

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 当然ですが、現在の大学受験のいわゆる“傾向と対策”は親世代が受験生だった時代とはまったく違います。そこでOricon CS Rankingは、国立理系の一流大学である東京工業大学に現役で入学した息子を持つ50代の父親に取材。“受験生の父親がやるべきこと”をテーマに、前編「学習塾の選び方」、後編「受験生との接し方」の2回に絞って話を聞きました。その前編を掲載!
 「大学受験の時期を迎え、子供に対し父親がやるべきことは?」と聞かれて、即答できる親は少ないはず。かわいい子供のために何か有益なアドバイスを……と考えるのが親心というものですが、何をどう言えばわからないまま時間が過ぎ、スマホやゲームをしている子供に対し「勉強してるのか!」と上からモノを言ってしまった挙句、「はぁ?」とムッとされてしまったという人も多いのではないでしょうか。

 ポイントは子供の自主性を重んじること、そして、同じ目線で話をすること。このふたつを抑さえるだけで、子供のポテンシャルは確実に伸びる……はずだ。ちなみに筆者も高校1年生の娘を持つ父親。高校受験のときはほぼ何もできず、ほとんどすべて妻に任せきりでした。地方出身者の筆者にとって、東京の複雑な受験システムは、まさに未知の世界。子供の判断を尊重しつつ、さりげなく後押しする“父親”のスタンスは大いに参考になりました。
<基本データ>
50代
東洋大学出身/エンタテインメント系情報会社副社長
息子さんは都立の進学校から東京工業大学に現役で合格。
 都内のエンタテインメント情報会社副社長の“息子”は3年前、国立理系の一流校である東京工業大学に現役で合格。インタビューの冒頭、「ずばり、難関校に一発で受かったヒケツは?」と聞いてみたところ、「親はほとんど何もやってないですよ。塾でいい先生に出会えたことが良かったんじゃないかな」という答えが返ってきました。ポイントはやはり塾選び。特に理系の大学を目指す場合、専門性の高い特別な勉強がどうしても必要になります。しかし、この父親は子供に塾に行くよう勧めたことは一度もなかったといいます。それどころか「中2の夏に自分から”塾に行きたい”と言い出したときは、正直に言って面食らってしまった」のだとか。

 「私自身は塾に通ったことがなく“中3になったら受験のために塾に行ったりするのかな、都会では”くらいに思っていたので、“え、もう行くの?”と驚いてしまって。理由を聞いたら、サッカー部の友達に誘われたから、自分も行きたいということだったんですけどね」と、まずはきっかけを話して頂いた。「それも全部、こどもが自分で決めたんですよ。早稲田アカデミーという有名な塾だったので、“大丈夫なのかな”と少し心配していたのですが、どうやら気に入った先生がいたみたいですね。高校に入ってからも、同じ塾に通い続けましたから。高校受験の中学3年の最初は英語と国語と数学。高校生になったら英語と数学がメイン、センター試験直前にあわてて国語と社会を勉強していました」。

 言うまでもなく塾選びは、受験の成功に大きく関わる重要ポイント。この親子の場合、塾は全て息子が決め、父親は基本的にこどもの意志を尊重するスタンスだったといいます。いくら親が「この塾がいい」と思っても、勉強するのはあくまでもこども。本人が「この先生に教えてもらいたい」と自分で思わない限り、モチベーションは決して上がりません。父親もこどもの大学の受験の時期、“やはりこどもに任せたほうがいい”ということを痛感する出来事に遭遇します。
 「息子が気に入っていた英語の先生に“物理だったら、あの先生が一番”と教わり、その先生の授業を取ることにしたのですが、1回授業を受けただけで“あの先生は合わないから、やめる”と言い出して。1カ月分の授業料を前払いしていたので、もったいないなとは思いましたが“お金は小遣いから引いてもいいから”と言うので、好きなようにさせました。就職してから“上司が嫌いだからやめる”では困りますが、塾のことはそれでもいいかなと」。

 この話を聞いて筆者は「自分だったら“なぜ、その先生の授業のやり方を確かめなかったのか”とか“1回では分からない。評価の高い先生なんだから、とりあえず続けてみろ”と言うだろうな」と思いました。しかし父親は「無理矢理に行かせても、勉強しないでしょうから」と理由で子供の判断に任せた。おそらく彼は「自分は信頼されている」という気持ちをさらに強めたはず。結果論になりますが、この自己肯定感こそが、受験突破の大きな力になったのではないでしょうか。
 その後の勉強に関してもこの父親は「基本的には塾の先生にお任せしていました」と言います。大学受験の勉強はかなり専門性が高く、テクニカルな要素も多く含まれています。つまり、ほとんどの親には理解できないわけで、勉強の内容についてアレコレと口を出すのはむしろ逆効果と言えるでしょう。

 「確かに塾ではかなりテクニカルなことを教わっているようでしたね。息子は理系だったせいもあって、“国語と社会はとにかく無難に乗り越えたほうがいい”“歴史は時間が取られるから、倫理・社会のほうがいい”ということも言われていたみたいです。東工大は数学のウエイトが高いのですが、数学が得意な子供が集まるので、じつは英語の出来が合否を分けることが多い。しかも海外の文献を読むための専門的な英語力が問われるので、それはもう塾にお任せするしかないですよね。“とにかく単語を覚えろ”というアドバイスを守って、ずっと単語帳を持っていたり、よく勉強はしていたいと思います」

 「私たちが考えていたのは、塾の授業料のことだけですね(笑)。塾のことを調べてもよくわからないし、先生と子供の相性もありますから。やはり本人が“この先生は面白い”と思うことが一番じゃないでしょうか」

 塾の選択から勉強方法まで、ほぼすべてを子供の選択に任せ、それをフォローしてきた父親。繰り返しになりますが、勉強し、受験するのは子供自身。親は本人がアクションを起こすのを待ち、それを手助けするのが最大の役割なのかもしれません。
【文/森朋之 校閲/磯崎恵一(株式会社ぷれす)】
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