大学受験のファーストステップ 偏差値と入試前に知っておきたい情報

 一口に大学といっても、理系・文系を合わせると、およそ500もの学部が存在する。得意科目や将来の夢を考え併せ、そのうちのひとつに進むことになるわけだが、選択にあたっては「偏差値」という大きな壁がある。

 ところが、この偏差値、わかっているようでわからないという人が多いのも事実。そこで今回は、受験の基本である偏差値を含む入試前に知っておきたい情報や、大学受験にまつわる数字の見方を徹底解説する。

入試前に知っておきたい大学受験の「偏差値」

1)偏差値とは?

 偏差値とは、簡単にいえば、受けた試験の成績が受験者全員の中でどの位置にあるのかを示す値のこと。大学受験の入試難易度として公表されるのは、実際の合格者の平均偏差値だが、模試の偏差値は、そのテストを受験した集団を基準に割り出されるものなので、試験の受験者のレベルによって変動する。そのため、模試での偏差値が、志望校の入試難易度よりも高かったからといっても安心できないし、低いからといって希望を捨てる必要もない。

2)予備校の模試で知る「偏差値」
 規模の大きな予備校の模試であれば、受験者も多いため、より正確な偏差値を知ることはできる。さまざまな予備校の模試を受けると良いだろう。ただし、注意しなければならないのが、推薦入試やAO入試の増加傾向である。目指す大学の入試方式や募集人数のチェックは、しっかり行っておきたい。

3)抑えておくべき「合格最低点」

 偏差値同様、注視しておかなければならないのが合格最低点だ。これは、この点数さえクリアしていれば合格できるというはっきりした基準だけに、自分のレベルに合う大学・学部・学科を見つける手助けになる。過去問を解いて、その点数と合格最低点を比べることで、自らの学力を明確に知ることも大切である。

入試前の大学選びで『見るべき数字』

 官公庁も企業も情報を公開するのが当たり前の高度情報化時代にもかかわらず、大学は情報公開をしてこなかったが、文部科学省が2011年4月から大学に情報公開を義務付けた。

 公開されている情報は、教員数、在学者数、1年間の授業計画などの9項目。もちろん、ただ数字を見れば良いというわけではなく、数値の読み解き方を知っておかなければならない。

文部科学省が大学に公開を義務付けている情報
●学部・学科または課程などに定めた目標
●学部・学科または課程などの名称
●組織内の役割分担や年齢構成、男女別、職別の人数、各教員の研究実績
●入学者の数、定員数、卒業者数、就職状況
●シラバス(開講される全科目について内容や計画が記されたもの)や、年間の授業計画の概要
●必修科目、選択科目及び自由科目別の必要単位修得数
●運動施設、課外活動の状況及びそのために用いる施設、その他の学習環境、主な交通手段の状況
●寄宿舎や学生寮等の宿舎に関する費用、教材購入費、施設利用の費用
●留学生支援や障害者支援など大学が取り組むさまざまな学生支援の状況

など


 大学が発表している数字の中で、まず注目したいのが在学者数と定員。在学者数は、大学の評価の指針になり、定員から在学者数を引くことで定員割れの実態を把握できる。

 また、ひとりの教員が何名の学生を見ているかも重要だ。1対20と1対50では、教育の質に大きな開きができてしまう。学生の数が増えれば増えるほど、当然、教室は広くなり、教員と学生の距離が遠くなって、質問をしづらくなる。小さな教室であれば、教員が学生の顔を覚える可能性も高くなり、意見交換もしやすくなる。大学案内で「きめ細かい指導」を掲げる大学は多いが、正しい数字の見方を知っていれば、それがどこまでのものか見極められるのだ。

「入学者数が100人だったら」と想定して、大学入学後の数字を割り出す

 大学が発表している情報を分析するときは、入学した人数を100人として考えると分かりやすい。たとえば、中退率が10%、就職率が60%、進学率が10%であれば、100人のうち中退するのは10人。残りの90人のうち、就職するのは54人で、進学するのは9人。そうなると、就職も進学もしない学生が27人いることになり、中退と合わせると37人が就職も進学もしない学生ということになる。このようなパーセンテージは、新聞社が発行する受験参考本などに掲載されているので、それらを参考に割り出すと良いだろう。

 また、大学の公式アプリも続々とリリースされている。オープンキャンパスの日程や受験情報など、大学の情報を手軽に取得できるツールだけに、大いに活用したい。
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