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映画「沈黙」で大絶賛!イッセー尾形の英語の海外の反応とは?

 一人舞台の第一人者であり、元祖バイプレイヤーとしてドラマや映画でも長年活躍する俳優のイッセー尾形。昨年は、遠藤周作原作、スコセッシ監督による映画『沈黙−サイレンス−』に出演し、海外の批評家やメディアから絶賛されたことも記憶に新しい。そんなイッセーが、グルメドラマ『居酒屋ぼったくり』(4/14よる9時スタート・BS12 トゥエルビ)に出演。つねに“人間”を演じることにこだわってきた彼は、本作でどんな芝居を見せるのか。言葉の通じない海外の活動で得たもの、イッセーにとっての演技への向き合い方についても聞いた。

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映画『沈黙』で海外から絶賛、「言葉が通じないところが面白い」

 「“人間”を作る仕事をしていますから、映画やドラマも、“人間”に焦点を当てた作品に惹かれるんです」

 そう語るのは、俳優歴47年、元祖バイプレイヤーとして知られるイッセー尾形。人気小説をドラマ化した『居酒屋ぼったくり』では、下町にある居酒屋の常連客・シンゾウを演じている。
 「もちろん主役はいますが、台本を読んだ時に、他の出演者もお客さんも全員が等しく主人公である。その平等感に惹かれました。何が起こるというわけでもなく、何気なく街の人たちが寄り集まって、自分なりの言葉で、警戒心なしで語り合える。そこに人が生きているよ、というそのままの作品になりそうなんです」
 日本のドラマでも存在感ある演技がお馴染みのイッセーだが、海外からの評価も高い。昨年公開されたマーチン・スコセッシ監督映画『沈黙−サイレンス−』では、江戸初期、外国人宣教師を弾圧する長崎奉行・井上筑後守として出演。その演技は、アカデミー賞の前哨戦とも言われるロサンゼルス映画批評家協会賞で、並みいる助演男優の中から見事次点に選出されている。
 「『沈黙』のとき、人物の捉え方の中心に据えたのは、“英語をしゃべる日本人”だということ。海外の作品に出演すると、言葉が通じないところがすごく面白いんです。たとえば日本人同士だと、10の課題が与えられると10全部考えなきゃいけない。ところが言葉が通じない海外だと、相手が10渡したつもりでも、こっちに届くのはせいぜい1ぐらい(笑)。役にアプローチする上で、絞り込みができるからラクなんですよ。もちろん、相手に言葉の意味が通じないといけないから、事前に発音のレッスンは受けましたけど、ネイティブの人たちのように上手くなる必要はまったくないし、井上はお奉行さまだから、誰に対しても優位な立場でしょ? 余裕はあって、その上で自分なりの英語をしゃべればいいだけだから、堂々と臨めました(笑)」

イッセーにとって演技とは、劇中人物を“生き生きとさせる”作業

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 イッセーにとって演技とは、話の中に登場する人物を“生き生きとさせる”作業なのだそう。生き生きした人間を演じるためには、自分も生き生きしていなければならない。よって、イッセーが芝居をするときは、どうしても即興やアドリブが多くなってしまう。『沈黙』でもその姿勢は変わらなかった。
 「そもそも、監督さんが率いる撮影チームが素晴らしくて、何やってもOKなんです。たとえば僕は、カットのたびに“こうやってみたらどうだろう?”というアイディアが湧いてしまう。日本での打ち上げの時に監督さんにあいさつに行ったら、すごく冷静に『君はカットカットで芝居が違うね』と言われましたけど(笑)」

 イッセー演じる井上筑後守は、やっていることは冷酷で極悪非道だが、彼には彼なりの正義がある。江戸時代に流暢に英語を操るインテリだが、どことなくユーモラスな雰囲気もある。
 「“極悪非道”というのはやられる側からの見方であって、極悪非道主体で演じようとすると優しい顔もできなくて、芝居の幅がすごく狭くなってしまう。でも井上だって人間だから、そんなわけはないはず。僕としては、極悪非道をチャーミングに演じたかった。人間は誰しも、チャーミングなところがあるはずなんです」

 今までどんな映画でも見たことのない、得体の知れないキャラクターだったと伝えると、イッセーさんの顔がほころんだ。
 「“得体が知れない”というのは、いい言葉です。そう言われるのは嬉しい。だってそれは、一つ新しいアプローチを発明できたということだから」

海外でも一人舞台公演、「台詞の意味とかそんな小さいことに捉われない」

 イッセーと言えば、日本における一人芝居の第一人者であり、1990年から海外での公演も行っている。当時、言葉の壁を感じることはなかったのだろうか。
 「海外公演を始めた頃は、同時通訳の音声が流れるイヤホンを渡して、一応お客さんに僕が何を言っているかがわかるようにしていました。海外のお客さんは、知的好奇心がすごいし、劇場に行くことが生活の一部になっている。いつも行っている劇場に、日本から一人芝居という独特のスタイルを持った俳優がやってきたというので、観る前からボルテージが高いんです(笑)。台詞の意味とかそんな小さいことに捉われるのではなくて、僕が全身から醸し出す雰囲気やニュアンスを観て楽しむんですね。お客さんによって反応がバラバラだから、リアクションが得られた途端に、僕もどんどんアイディアが湧くんです」

 イッセーの一人舞台は、観客と奏でる笑いのセッション。言葉の意味ではなく、人間の持つ存在感によって、観客を笑いの渦に巻き込んでいくわけだ。
 「だから外国に行くと、“楽器になりたい”という願いが強くなりますね、楽器って、音それ自体に意味はないけれど、ボリュームやトーン、リズムを変えたりすることで、肯定や否定、同調とか反発とか、いろんなニュアンスを醸し出すことができるじゃないですか」

 言葉の意味などわからなくても通じ合えた瞬間に、喜びを感じるという。『沈黙』のときも、主演のアンドリュー・ガーフィールドと、演じながら気持ちが交流した瞬間があった。
 「撮影が終わって、共演者の皆さんや監督さんたちとアメリカで再会したときは、撮影する前とはまったく違う距離感だった。今も、初日を土砂降りの中で迎えたことや、ロケ地の台湾の独特の空気感とか、いろんな思い出がお互いの中に生きている。100年後、200年後に残る作品に出られたこと、本来は遠くて当たり前の人たちが、すごく身近に感じられる体験ができたことは、とても幸せなことだと思います」

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