城田優、実はイチから学んだ英語力「この風貌だから当たり前にできると思われる」
「外国人の先生に積極的に質問」、学校の授業以外は独学
城田優 まず、母親にソックリだなと思いました(笑)。
――劇中では台詞をずっとしゃべりっぱなしですね。
城田優 限られた時間の中で、この膨大な台詞量を頭に入れて、かつ女性として自然に芝居をするというのは、なかなかハードルが高かったです。満点ではないにしろ、周囲から“良かった”と言っていただけるレベルにできたことは、自分にとっての自信になりました。評価は、観る人によって差が出てくるところだと思うんですけどね。僕が関わった映像作品史上、最難関とも言える役。全身全霊でやり切りました。エステにも通いましたしね!(笑)。
――まるで海外の女優さんのようでした。城田さんはこれまで海外の方との仕事もしてきていますが、ご自身は日本の学生同様、英語は中学の授業でイチから習ったとか。
城田優 はい。幼少期はスペインで過ごしたんですが、7歳で日本に来たので、スペイン語も難しい会話はできないんです。日常会話はできても、難しい表現ができない。英語も、この風貌だから当たり前にできると思われがちなんですが、学校の授業以外は独学です。ただ、英会話の授業は好きで、外国人の先生に積極的に質問したりして、なるべく話すようにはしていましたね。中学からは映画も字幕版で観ていたので、「ああいうときは、こんな言い回しをするんだ」と、簡単な会話は自然に覚えていった。それこそ、“Watch out!”“Follow me!”なんていう、簡単な言い回しからですね。要は、「外国語だからわからない」とシャッターを下ろしてしまうか、間違えていてもいいからとにかく英語に触れて覚えるかのどちらかだと思うんです。
――ミスをしても、どんどん使っていくことで会話ができるようになってくる。
城田優 そうそう。間違えることを怖れたり、わからないから聞き取ろうとしなかったり、使わなかったりしたら、永遠に覚えることはできない。ほんの少しでも日常で英語に触れる時間を作ることで、会話力は差が出てくるんだと思います。とにかく、使わないと忘れてしまうというのは、僕自身がスペイン語で思い知らされていますからね。7歳で離れてしまったことで、僕のスペイン語は成長が止まってしまった。語学学習のコツは、興味を持つ、そして使う。この2点だと思います。
「周りを見渡せば英語はつねに目に入る」、日々の意識が大切
城田優 日々意識していれば、そんなことはないですよ。周りを見渡せば、英語はつねに目に入るし、いくらでも拾っていくことはできます。駅や観光地にも、英語表記での説明がたくさんあるじゃないですか。アナウンスでも、“This train goes to TOKYO.”“Please fasten your seat belt.”とか、そういう日常の英語に興味を持つことで耳を慣らし、あとは恥をかいてもいいから使っていく。そして慣れていく。海外での買い物でも、だいたい店員さんが話すことは決まっていますしね。カードか、キャッシュか、とか。そういうやりとりを経験して、自分の英語がどこまで通じるかを試して、磨いていけばいいんです。
――典型的な言い回しでも、どんどん使っていくことが大事。
城田優 ひとつ表現を覚えたら、すぐ使う。さらにバリエーションを変えて、繰り返してみるとかね。道を聞くでも、何でもいいんです。何度も使ってみないと、体には染みつかないですから。
――確かに、文法や単語を知っていても、話し慣れていないとその先にはいけないですね。
城田優 まず、自分のことを話す練習をしてみたらいいと思います。仕事は何をしているのか、好きなことは何なのか。話しやすい、簡単な表現から始めて、会話できるチャンスがあったら積極的に使ってみる。問題は、そこから先なんですけどね。
――先ほど言っていた、少し難しい表現?
城田優 ビジネスや政治の話など、単語を知らないとできない会話ですね。僕も、単純な言葉を並べるのではなく、ボキャブラリーを増やして、もっと表現力の幅を広げていきたいんです。
舞台で海外俳優ともコミュニケーション、「話せてデメリットになることはない」
城田優 『4Stars』というショーを去年と4年前にやらせていただいたんですが、他の出演者も演出家も海外の方だったので、直にコミュニケーションが取れるか取れないかで、大分変わっていたと思います。通訳を入れずに話せれば距離も縮まりますし、信頼感も生まれる。英語は世界の共通語ですから、少しでも話せるようになれば、メリットしかありません。最近会った同世代の友だちが、「英語を覚えたい。でも今からじゃ遅いかな?」と相談してきたので、ちょうど今回と同じような話をしたところだったんです(笑)。話せてデメリットになることはないし、必ず何かしらの役には立つ。いろんなことの選択肢が増えますし、人生に新しい広がりができると思いますよ。
――最後に、今回の繭美という役は、俳優としてのキャリアにとってどんな意味を持つと思いますか?
城田優 限られた時間の中で、このセリフ量を頭に入れて、かつ女性役ということもあって、ハードルは高かったんですけど、そこがきちんとできたというか。周りが評価してくれたことは自信につながりました。僕の映像作品史上では間違いなく一番大変で、ナンバー1。全身全霊でやりきりました。
(写真:草刈雅之 文:根岸聖子 スタイリング:黒田 領 ヘアメイク:竹下フミ/竹下本舗)
『連続ドラマW バイバイ、ブラックバード』
原作:伊坂幸太郎「バイバイ、ブラックバード」(双葉文庫)
監督: 森 義隆(映画『聖の青春』、『宇宙兄弟』、『ひゃくはち』ほか)
脚本: 鈴木謙一(映画『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』ほか)
音楽: 安川午朗(映画『八日目の蝉』『日本で一番悪い奴ら』ほか)
出演:高良健吾 城田 優
<登場順> 石橋杏奈/板谷由夏/前田敦子/臼田あさ美/関めぐみ
松村雄基 丸山智己 岡村いずみ 斎藤洋介 あがた森魚 戸塚祥太(A.B.C-Z/友情出演)
番組公式インスタグラム:@bbbb_wowow