日本人初、BECKとコラボしたDAOKOが感じた英語の必要性
責任感やプレッシャーもあったけど、BECKさんも褒めてくれた
DAOKO 前作のアルバム『DAOKO』(2015年)の後の2年半で、興味の方向や好きな音楽もどんどん変わっていったんです。今回のアルバムは最初から全貌が見えていたわけではなく、目の前にある楽曲に取り組み続けて、そこで出来たものをパッケージした作品ですね。
――配信シングル「UP ALL NIGHT×DAOKO」では、BECKが初めてコラボした日本人アーティストとして、大きな注目を集めました。
DAOKO BECKさんとのコラボレーションは急に飛び込んできたグッドニュース、ビッグニュースで、私としても「もちろんやりたいです」という感じでした。お話をいただいた時点で「UP ALL NIGHT」は(BECKのアルバム『Colors』から)先行配信されていて、「すごく開けたな」と思っていたんです。BECKさんのラップも素敵だったから、そこに自分のバース(サビに入るまでの序章)を乗せるのは大変だなと思いました。私は、BECKさんの音楽をもっと日本のリスナーに届けるために起用されたところもあるし、責任感やプレッシャーもあって。でも、しっかり制作に向き合えたし、与えられたトラックに対してどんなバースを乗せるか?ということに集中していたんですが、すごくいいものになったと思います。日本のリスナーが聴きやすくて、海外の人たちも乗れるようなラップができたんじゃないかなって。BECKさんも褒めてくれたんですよ。
すごく純粋に音楽と向き合っていて、泣きそうになるくらい感動しました
DAOKO はい。生音のバンドとのセッション自体、初めてだったんです。しかもBECKさんの素晴らしいバンドと一緒にやれたのはすごく貴重な経験になりましたね。メンバーのみなさんも、すごく愛情深い方々でした。
――BECKとのやり取りのなかで、印象に残っていることは?
DAOKO 通訳さんを通してですが、いろいろなアドバイスをいただきました。BECKさんは、「ずっと音楽を作っていても、なかなか理想には届かない。でも、だからこそ、またやりたくなるんだよね」と言っていて。「BECKさんみたいな高みに達している方でさえ、そういう感じなんだ」と思ったんですよね。「ずっと冒険を続けている」という言葉もそうですけど、すごく純粋に音楽と向き合っていて。泣きそうになるくらい感動しましたね。
表現は言葉がなくても伝わるけど、意思疎通するにはやっぱり必要
DAOKO そうですね。最近は海外のインディーバンドをよく聴いているんですけど、音楽的にも面白いし、カセットテープでリリースしたり、DIYでやっている感じも好きで。どこかのタイミングでライブに呼んだり、コラボできたらいいなとは思っていました。BECKさんと一緒にやれたのは自分でもビックリですけど、そういう活動は今後も続けていきたいですね。
――海外のツアーなど、今後もどんどんやってみたい?
DAOKO はい。まずは日本でしっかり活動したいと思っていますし、海外をメインにするということではないのですが、需要があるなら行ってみたいなって。“DAOKO”は、そこは自由にやれる存在だと思うんですよね。スタジオカラーとコラボしたときの映像(ドワンゴとスタジオカラーのタッグによる短編映像シリーズ配信企画。DAOKOの楽曲を使用したアニメーションMV「GIRL」を公開)も海外で人気があって、アニメ系のフェスからオファーをいただくことも多いんです。ジャパンカルチャーは世界中で尊敬されているし、もし求めてもらえるのであれば応えたい。海外に行くと音楽的にショッキングな経験もできるし、しばらく行ってみたいという気持ちもありますね。
――海外展開を考えると、やはり英語は必要?
DAOKO はい。英語が話せれば、向こうのアーティストともっとコミュニケーションが取れるし、もっと広がると思います。同じ目線で話せるようになりたいですね。表現は言葉がなくても伝わるけど、意思疎通するにはやっぱり必要だと思います。
(文:森朋之)