犬のしつけはなぜ英語?
コマンドを教えるのは犬に芸をさせるためではなく、服従訓練をするためです。「待て」や「お手」などを教えこむことで、犬に対して飼い主であると認識させるのと同時に、信頼関係を築く行為、それがコマンドなのです。
今まで一般家庭ではコマンドを日本語で教えることが多かったのですが、近年は英語で教えることが多くなっているようです。お座りは「シット」(sit)、伏せは「ライダウン」(lie down)、部屋に戻る「ハウス」(house)などが有名ですね。しかし、なぜコマンドを英語で教える必要があるのでしょうか。今までどおり日本語ではダメなのでしょうか。
まず一つ目は『コマンドを統一できる』ということです。
たとえば犬を呼び寄せる「来い」というコマンドですが、日本語は非常に柔軟なため「来い」「来て」「来なさい」「おいで」「いらっしゃい」など様々な形に変化します。これでは犬も混乱してしまいますね。しかし、英語ならば「come」の一言で済みます。「来い」という意味の派生をすべて覚えさせるより、よっぽど効率的です。
二つ目は『音が少ない』ということ。犬と一緒に暮らしていると、まるで人間の言葉を理解しているように思える瞬間がありますが、残念ながらこれは飼い主の気のせいです。犬は言葉を理解しているのではなく音の種類を聞き分けているだけにすぎません。「待て」は理解できても「ちょっと出かけてくるからここで大人しくしていてね」が理解できないのはこのためです。
一般的に犬はコマンドに音が少ないほど覚えやすく、また聞き取りやすいと言われています。たとえば「お座り」(osuwari)というコマンドに対して「シット」(sit)は圧倒的に音が少ないですよね。日本語はすべてに母音が含まれているため、多くのコマンドで英語よりも音が多くなってしまいます。犬からすれば英語のほうが記憶しやすいのです。
お座り→シット(sit)
伏せ→ライダウン(lie down)
待て→ステイ(stay)
立て→スタンド(stand)
来い→カム(come)
犬小屋へ行きなさい→ハウス(house)
許可→オーケー(ok)
否定→ノー(no)
ご紹介したのはあくまで一部。他にもたくさんのコマンドがあります。
ちなみにこの通りに教える必要はありません。伏せをライダウンではなく、単にダウンと教えている方もいます。自分の言いやすいコマンドでオーケーです。
コマンドは犬のしつけのために行うものです。犬に意図が伝わればそれで良いわけですから、飼い主が言いやすく、また犬が答えてくれればそれで十分なのです。