2013年01月12日 07時00分

京都精華大学ポピュラーカルチャー学部新設 客員教員に細野晴臣氏や佐久間正英氏

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 京都精華大学に本年4月からファッションと音楽を学ぶ「ポピュラーカルチャー学部」が新設される。音楽コースとファッションコースの2コースから成り、共通のカリキュラムも用意されているという。学問分野として、2つの領域を並べ組み合わせることで、既存のジャンルを越え、新しい文化を生み出す若きクリエイターを育成していく。

■「ファッション×音楽」で次世代クリエイター育成

 国内で初めてマンガ学部を設立するなど、芸術、デザイン、マンガ分野で、様々な人材を輩出してきた京都精華大学に、13年4月よりポピュラーカルチャー学部が新設される。大きな特長は「ファッション」と「音楽」を組み合わせたカリキュラム。客員教員には細野晴臣氏や藤原ヒロシ氏。音楽コースでは佐久間正英氏、近田春夫氏、ファションコースでは柳田剛氏や山縣良和氏など第一線で活躍するクリエイターが教員を務める。1年次にそれぞれファッションコースと音楽コースに分かれ、基礎教養・技術を学ぶことになるが、演習などでは共同プロジェクトも行われる予定だという。

 「本学ではマンガ学部を設立し、マンガ学というものを確立しました。次に大学の学問として極めていくべき文化現象を考えたとき、マンガがアニメやライトノベル、音楽という多様なコンテンツへ影響を与えている現状では、より広くポピュラーカルチャーを学ぶことが必要という結論に至りました。なかでもファッションと音楽は若い人の日常に根付いており、近年はスマートフォン等のデバイスの普及もあり、ファッションとして“音楽を身に着けている”感覚も強まっているように感じます。そこで、2つの要素を共通の枠組みのなかで学ぶ環境を作りました」

 設立の目的をこう解説するのは京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部長に就任予定の斎藤光氏。同学部のコンセプトは「作る、届ける、考える」。「届ける」という点では、「音楽を商品化する」ために必要なマーケティングの視点も取り入れる。また、「考える」には、批評を重視していくという思いも込められている。

 「作品に対する批評的な精神は学生全員に持ってもらいたい。その上で、さらに深く追求していく研究者や、ジャーナリストの育成も目指します。ファッションや音楽の持っているパターンを洗い出し、批評していくことは既成概念を越えるコンセプトを提示することにも繋がると思います」

■産学連携による商品開発も

 世界で活躍できるクリエイターの育成はファッション業界においても課題だ。既存ブランド等で働き、業界を支える人材は多数いるものの、パリコレクションなど、世界規模でモードの最先端を行くようなデザイナーはほとんど登場していない。

 「新しいクリエイターの育成というのはとても難しい。特に現在はファッションも音楽もジャンルが確立されてしまい、横断的に活動しづらい状況のようにも感じます。全員がそうなるべきだとは考えていませんが、この学部を通じて、多様なジャンルを行き来できる感覚を養い、まったく新しいジャンルを立ち上げる人材が登場することも期待しています」

 また、斎藤氏は、今後は音楽メーカーやプロダクション等とも積極的に連携を図っていきたいと語る。

 「ファッションも音楽も日常生活の隅々まで浸透していることを考えると、顕在化していないニッチな領域が残っているはずです。日々、経済活動をしていかなければならない現場の方々が、それを探すことに時間を割くのは難しいのではないかと思います。一方で、大学とはそういうことに時間を取り、検証することができるシステムです。相互に協力し合えることは多いと思っています」

 新しい感覚を有したクリエイターの登場への期待はもちろん、産学連携による商品開発という面でも同学部は大きな可能性を秘めていそうだ。(オリジナル コンフィデンスより)

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