塾講師が大学生アルバイトでも大丈夫?

 塾を選ぶにあたって、「講師の質」は重要なポイントのひとつです。塾の中には、すべての授業を正社員講師が対応することを売りにしている塾もあります。一見、アルバイトの大学生よりも経験を積んだ正社員のほうが講義のスキルが高いようにも思えますが、実際はどうなのでしょうか。
 塾講師の仕事として最初に思いつくのは、「講義をすること」でしょう。もちろん講義は、塾講師にとって一番大切な仕事です。しかし、実際には、塾講師は講義以外の仕事も多くこなしています。

 講義の準備や、講義のあとの質疑応答、保護者からの質問対応など、講師の仕事は多岐にわたります。

 こうした仕事は、正社員講師であっても大学生アルバイト講師であっても発生します。
 大学生にとって塾講師は、高時給でやりがいのある「おいしい仕事」のように思われがちです。実際、コンビニや飲食店と比べると、塾講師の時給はかなり高く設定されています。

 しかし、講義外の作業には給料が発生しない場合もあります。ですので、実際の時給に換算すると、大して高額ではなかったということもありうるのです。

 このような労働環境では、大学生アルバイトのモチベーションは維持できません。働き出したものの、すぐにやめてしまったという大学生アルバイト講師も少なくありません。

 しかし、生徒側からすると、ころころと講師が変わるのは良くないことです。大学生アルバイトを採用している塾に通う場合は、講師の待遇がしっかりしているかどうかについて確認しておきたいところです。塾講師アルバイトの労働条件を改善するために導入された、「安心塾バイト認証(※)」を取得している塾は安心できるのではないでしょうか。

 塾に通う子どもにとって、大学生は年齢も近く、「お兄さん、お姉さん」といった身近な立場で勉強を教えてくれる存在です。学校の先生や両親、正社員の塾講師などとは違う、憧れの存在になってもらうことで、勉強に身が入りやすくなることが、大学生アルバイト塾講師から学ぶメリットです。

 一方、デメリットは、サポート面や技術面で問題がある場合もあることです。前述のようなサービス残業をさせている塾の場合、質問にしっかり答えてもらえなかったり、塾の準備がおろそかになってしまったりする可能性もあります。

 しかし、十分な待遇の塾で、情熱を持って働いている大学生アルバイト講師であれば、正社員以上に工夫をこらした講義をしてくれる可能性もあるのです。

※公益社団法人全国学習塾協会が、アルバイトの労働条件を適正に確保している事業者に対して付与している認証。
 正社員の塾講師は、塾に雇用されている立場ですから、講義以外の時間であっても、塾にいる可能性が高く、保護者からの質問などにも対応してもらいやすい環境にあります。また、長年講師を続けているベテランの先生であれば、ノウハウも蓄積され、安心して勉強を任せられるのも、正社員の塾講師から学ぶメリットのひとつです。

 しかし、中には講師をしているものの、長続きしない人もいます。正社員だからといって、長くその仕事を続けているとは限りません。反対に、昔から講師をしているからこそ、自身の考えが凝り固まってしまい、最近の学習トレンドや子どもの在り方に対応できなかったり、柔軟性に欠けたりする可能性もあります。このような先生に教わる可能性があることが、デメリットになります。

 講師の良し悪しを見分けるためには、講義を見学したり、子どもからどのような授業をしているか聞き取りをしたりするのがおすすめです。また、機会を見つけて講師と一対一で話してみるのもいいでしょう。

 すばらしい経歴の持ち主でも、勉強一筋で過ごしてきたために一般常識に欠け、「わからない子ども」の気持ちに寄り添えない講師もいます。「長年講師をしてきた正社員だから安心」と決めつけることはできないのです。
 大学生アルバイト講師にも、正社員の講師にも、それぞれメリット・デメリットがあります。最終的には、塾のスタンスと、講師個人の素質が問題になってきます。

 経験の少ない大学生アルバイト講師であっても、研修制度やサポート制度がしっかりしている塾であれば問題はないでしょう。しかし、講師任せの塾の場合は、それぞれの講師の性格やスキルがより色濃く講義に反映されます。

 塾を選ぶときは、子どもと塾の関係だけではなく、講師と塾の関係や、講師のサポート体制などについても確認してみましょう。

 また、実際に講義を受ける子どもの意見に耳を傾けることも大切です。特に年齢の低い子どもは、講師を好きになれるかどうかで勉強への身の入り方が変わります。正社員か大学生アルバイトかという立場は考えずに、子どもの心をつかむ講義のできる講師を探したいものです。
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