志望校の決定理由｜大学受験特集

この大学に行きたい！と思っても、志望の根拠や実際に入ってからの勉強など大学そのものについての知識が意外とあいまいだったり……。でも、いざ大学へのイメージが固まると、受験勉強のモチベーションが驚くほどアップする！これは大学をしっかり選ぶことが合格の決め手になった先輩のケースが証明してくれる。納得いくまで考え抜いて、「ココしかない！」という大学を見つけよう！

高校が進学校で周りの皆が超難関大学を志望する中、私も東京大学を目指していました。しかし、あまり大学に明確なイメージのないまま高3になってしまった私は、勉強はしっかりとできている自信はありながらも、東大そのものへの熱意はさほどなく、単に高い目標をクリアするために日々の勉強をこなすだけでした。もちろん、一生懸命勉強していましたが、どこかに突っ走れないためらいがあったのです。
それが、夏休みにクラスメートに誘われて東大のオープンキャンパスに行ったことで、一挙に変わりました。最初に本郷の門をくぐった瞬間、体に電気が走るような感覚に襲われたのです。周りの喧噪がうそのように消え、静かで重厚ながらも暖かい雰囲気を感じ、キャンパスに迎え入れられているような気がしました。そして、古いレンガ造りの校舎に目をやると、窓には本や書類がびっしりと積み重ねられている……友達は「汚いね～」（笑）なんて言っていましたが、私はこれにとてつもない自由さを感じたのです。ここの学生になりたい！この環境を自分のものにしたい！と心から思えました。それから半年、この思いだけで勉強を続けたと言っても過言ではありません。私の合格の決め手は、大学への“恋心”だったんです。

私は以前から日本伝統の文化が大好きで、日本史の勉強がとても楽しく、大学では日本史を専攻することを決めていました。志望大学を決める際に、塾の日本史の先生に相談に乗ってもらい、私がやりたい内容を話していると、「それは歴史的なアプローチでいいのかな？」と言われたんです。日本史を通して日本文化への興味が湧いた私にとって、歴史以外を考えたこともなく、この素朴な問いかけがとてもショックでした。
そこで日本史の教科書や資料集を見直して、自分がいったい何に惹かれたのかを探ると、文献などの日本文化を象る日本語そのものに興味があることがわかったのです。すると、面倒だと逃げていた古典文法がとても面白く感じられ、古文の勉強が楽しくなりました。また、そこから現代語の成り立ちが見えてくるようになり、受験対策であるはずの勉強が面白くて仕方がないほどになったんです。国語学に進むことも考えましたが、教師になって日本語の面白さを伝えたいと思い、東京学芸大の国語専攻を選びました。

小学生の弟が見ていたテレビをふと目にしたことが、大学での研究テーマに直結しました。それはNHK教育の「ピタゴラスイッチ」という番組で、たくさんの迷路のような仕掛けの中を小さなボールが縫うように通る中、予想を覆すような転がり方と次に表れる仕掛けの思いも寄らぬ展開に圧倒され、弟から文句を言われるほどテレビに近づいて食い入るように見たのです。
もともとパズル理論などに興味があり、大学では理工系に進むつもりでいたのですが、ぜひともこの驚異的な迷路を自分でつくってみたいと思ったのです。そして調べてみると、これを監修した人は慶応大の環境情報学部の教授であることがわかり、しかも実際にこの仕掛けに取り組む研究室があることも！それからは慶応一本槍で受験勉強を進めました。
いろいろとこの教授について調べると、関西からの新幹線の中で初めてルービックキューブをやってみて、最初は一面もクリアできなかったのに、東京に着くまでに六面ぜんぶ揃えたという、もうそれだけで頭の構造が違うなとギャップを感じるほどですが、こういう恐ろしい才能の持ち主に指導してもらえるなら、僕でもどんどん面白いことができるようになるかもしれない、なんて自分の将来に期待しているんです。

物心ついたときから野球が大好きで、小・中・高とずっと野球を続けていました。でも別に甲子園に行くような学校でもないし、大学から声がかかるような優秀な選手でもない。プロへの夢なんて中学のときにはすでになかったし、高校でも体育系の大学に進むことはまず無理だとわかっていたので、進路を決める際に野球のことは頭から追い出して考えていました。
数学や物理が不得意だったので文系だなと思い、周りの友達と同じように法学部や経済学部を漠然と考えていました。学校の授業で政経がわりと好きだったのでこの進路にはある程度納得していたのですが、友達の志望を聞いて心が動きました。その友達は、昔から車が好きだったから工学部に行き、将来は自動車メーカーの設計者になると。このシンプルな志望理由が、僕の心に刺さりました。本当にやりたいことを大学でやるべきだ、それを探すのに、自分が一番好きで一番頑張ってこられた野球を外して考えられるわけはない、と思ったのです。
それまでは選手以外に野球を続ける道を考えたことがなかったのですが、野球と関われる別のアプローチがあるのではないかと思い、早稲田大のスポーツ科学部にたどり着きました。教師になって野球の指導を行うこと、トレーナーやマネージャーになって選手のサポートを行うこと、スポーツメーカーでバットやグローブの開発に関わること、テレビ局で選手の取材を行うこと……野球と関わる将来が、これで一挙に開けたんです。あのまま法学部や経済学部を目指していたら、これほど受験勉強を頑張れたかわかりません。

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