入試本番に向けて“直前”という言葉が身近に感じられるようになってきた一方で、「AO・推薦入試」ですでに合格を決めたという受験生も少なくないはず。つまり、来年のAO・推薦入試がもう始まっているのだ! 今回はAOにチャレンジしようとする高2生へのアドバイス。キミたちはすでに“今年の受験生”なのだ!
いよいよ“勉学の秋”も深まり、センター試験の出願も済んで模試ラッシュの今、受験生は冬の入試本番に向かってラストスパートをかけていることだろう。 同時に、AO・推薦入試の結果が揃う時期でもある。合格を決めた皆さん、本当におめでとう!…この時期にそうやって手放して祝うのが、これまでは少しはばかられる気持ちもあった。何しろ、冬に向けて必死で入試と戦っている受験生がほとんどだったのだから。 しかし、昨年2007年度の入試で状況は一変してしまった。ご存知だろうが、一般入試で入学する生徒の数を、AO・推薦入試で入学する生徒の数が上回ってしまったからだ。極論すれば、大学入試の主流はAO・推薦入試に移ってきているのだ。
50.4%とほんのわずかではあるがAO・推薦が一般入試を上回った史上初の出来事、その“立役者”はまさしく「AO入試」だろう。 AO入試を実施した大学は1999年度には国公立はゼロで、私立のみ13大学だったのが、2000年度では初めて国公立でも4大学が導入。私立大の71大学と合計すると75大学がAO入試を実施し、飛躍的に増加した。さらに次の年の2001年には国公私立合わせて一挙に207大学が導入し、以来毎年AO入試を実施する大学の数は増加し続け、昨年の2007年度では国公立は52大学、私立は402大学、計454大学で導入された。今年の2008年度入試では国公立は59大学159学部が実施し、一橋大や東京工業大をはじめ、北海道大、東北大、九州大の旧帝大系など、難関大学が続々とAO入試を導入している。私大も増加の一途、これからますますAOを実施する大学は増えてゆくに違いない。
これは、現段階の受験生にはもう必要のない情報である。実は、今回は高校2年生に向けたメッセージなのだ。そう、来年のAO入試まで、すでに1年を切っている! AO入試に取り組むなら、高2生は来年の受験生ではない。もう“今年の受験生”なのだ。もはや受験本番と自覚し、着実な対策を行う必要がある時期に突入していることを認識してほしい。 ではAOの対策とは一体何か。AO入試で問われるのは、その大学に必要な人材かどうかである。大学への志望理由や研究テーマなど将来のヴィジョンを明確にし、これまで打ち込んできたことの実績と合わせ、大学に自分を丸ごと売り込む。そのための対策を行わなければならない。
AO入試でキーになるのは「志望理由書」である。作成にあたり、その大学を選んだ理由や研究テーマを、それぞれの“自分史”から導かれる独自のスタンスで突き詰めていく必要がある。自分がどんなことに興味を持って生きてきたか、どんなことに打ち込んできたか、本当にやりたいことは何なのかを、自分と向き合い固めていく。そのためには、黙って考え込むのではなく、精一杯“行動”するしかない。 研究のテーマは毎日の教科の学習の中にたくさん隠されている。部活動での必死の努力の中には自分の本当の姿がある。直面する高校生活の全てに、ひたすら没頭することが一番の対策なのだ。 AO入試合格を“テクニック”で掴もうとすることは、ナンセンスに等しい。あと1年、改めて高校生活を思いっきり充実させることからスタートしてはどうだろう。さあ、今こそガツガツ生きて大学合格を勝ち取ろう!
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