現在の多様化した大学受験と、きめ細かく個人への指導を行う現役生対象の塾・予備校、この2つが有機的に結びつく重要なキーワードが、実は前述した『AO(アドミッションズ・オフィス)入試』だ。慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)を皮切りに、現在、難関校で積極的に行われているこのAO入試とは、入学選考事務局が、受験生の個性や適性、意欲など、学力だけでない総合的な人物評価を行うというもの。つまり、企業の入社試験に似ていると言えばわかりやすいだろう。具体的には、生徒が行ってきた活動の報告書を作成・提出し、その審査や面接を行う。中には、与えられたテーマを3ヶ月間研究し、面接で教授に成果をプレゼンするという方式まで出現している。ここで生徒に求められるのは、従来の学力試験型の情報処理能力ではなく、問題を見つけ解決していく力、それと、将来なにがやりたいか、明確な目的意識とモチベーションなのだ。この対策を、今後の塾・予備校は一般入試の対策以上に積極的に取り組んでいかなければならないだろう。
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