通訳案内士試験はどんな試験?
ただしその一方で、プロの観光ガイドが不足する事態も懸念されています。日本では外国人を対象とする観光ガイドは「通訳案内士」にしかできないため、現在活動している通訳案内士のみでは急増するニーズに対応しきれない可能性があるからです。
今回は、いま注目されている国家資格試験「通訳案内士試験」についてご紹介します。
日本には「通訳案内士法」という法律があり、報酬が発生する外国人に対する観光案内業務は、通訳案内士にしかできない仕事として定められています。つまり通訳案内士とは、業務独占資格なのです。
試験は年齢・性別不問です。日本政府観光局によると、過去の最年少合格者は14歳、最高齢合格者は79歳であるとのこと。幅広い年齢層の受験者が受けている試験であることがわかります。受験者数は近年減少傾向ではありましたが、国内におけるオリンピック需要に伴い、今後増加する可能性があります。
スケジュール:筆記試験8月、口述試験12月
筆記試験会場:日本国内8カ所(札幌市、仙台市、東京近郊、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、那覇市)、日本国外(ソウル市、北京市、台北市)
口述試験会場:(1)「英語、中国語、韓国語」は東京近郊、大阪近郊、福岡市 (2)「英語、中国語、韓国語以外の外国語」は東京近郊
通訳案内士試験は、年に1度きりの試験です。8月に筆記試験(一次試験)を行い、12月に口述試験(二次試験)が行われています。合否発表が出るのは試験から3カ月後です。
試験は日本国内数カ所で実施されており、筆記試験に限ってはソウル市などでの受験も可能です。
試験の申込方法は、都道府県の観光課で願書を手に入れて郵送するか、インターネット上で電子申請をする方法があります。電子申請ならば書面願書は不要なので、インターネット環境がある方はこちらをおすすめします。
詳しくは日本政府観光局(JNTO)公式サイトの通訳案内士試験概要をご確認ください。
http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/
○外国語(一科目を選択)
試験科目:英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語
解答形式:英語(記述式とマークシート方式の併用)、英語以外の科目(記述式)
○日本語による筆記試験
試験科目:(ア)日本地理 (イ)日本歴史 (ウ)産業、経済、政治及び文化に関する一般常識
解答形式:マークシート方式
【口述試験】
試験内容:筆記試験で選択した外国語による通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について判定
筆記試験では、受験者が科目を選ぶ「外国語試験」と、日本の地理や歴史に関する問題が出題される「日本語による筆記試験」で構成されています。TOEICテスト840点以上や英検1級、中国語検定1級などの資格保持者は、この筆記試験が免除となります。もしも語学系の資格をお持ちならば、試験要項を詳しく確認してみてください。
口述試験は、1人あたり持ち時間8分の個人面接。面接官の前で実際に通訳をしたり、テーマに即したプレゼンテーションを行ったりします。プロの通訳に求められる実践的なスキルが問われる試験です。
詳しくは日本政府観光局(JNTO)公式サイトのの通訳案内士試験概要をご確認ください。
http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/
過去のデータで特に注目すべきは「一次試験」の合格率です。もっとも受験者数の多い英語科目は、受験者2,885名のうち、合格したのは半数以下の1,198名。合格率は42.3%です。このほかの科目はさらに合格率が低く、フランス語24.5%、中国語16.9%、韓国語21.1%と、受験者のほとんどが一次試験で不合格になっています。語学が得意であるだけでは合格できず、地理や歴史などが出題される「日本語による筆記試験」にも難しさがあるようです。
一次試験対策で学習しなければならない領域は幅広いですが、二次試験ではおよそ7〜8割以上の受験者が合格しています。このことからも、まずは一次試験をいかにして突破するかを考えることが試験合格のコツだと言えそうです。