2018年02月07日 08時20分

母国語よりも積極的に学ぶ国も 海外の「英語教育」事情(後編)

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母国語よりも積極的に学ぶ国も 海外の「英語教育」事情(写真はイメージ)

 2020年度から小学校の英語教育の内容が変わる。小学校3年生から必須科目となり、東京五輪や訪日外国人旅行者の誘致促進に向け、日本のグローバル化、英語力の底上げを目指す。

 ヨーロッパ各国を紹介した前回と同様、各国在住者への取材を基に、アルゼンチン、メキシコ、シンガポールの3ヶ国を取り上げる。海外と日本の英語教育と違いとは。

【アルゼンチン】
 アルゼンチンの公用語はスペイン語で、州によって教育カリキュラムが異なる。首都のブエノスアイレス市を例にとると、公立では1982年から小学校での英語教育が始まり、現在では小学校4年生から英語は必修となっている。

 1991年から「生きた言語校」に制定された14校では、クラスの半数が英語、残り半数がフランス語を学ぶというシステムも。アルゼンチンは、通常毎日4時間授業の半日校が大半だが、このコースでは毎日8時間学ぶ。同モデル校では、英語は小学1年生から学び、さらに小学校4年からは第二外国語として、フランス語かドイツ語を学ぶ。

【メキシコ】
 地理的な理由からアメリカと関係が深く、経済、教育、観光などの場面で英語が不可欠。英語教育にもとても熱心な国であり、英語とスペイン語で学ぶバイリンガル校、常に英語で全教科学ぶバイカルチャー校などの教育システムがある。

 学校で積極的に学んでいき、母国語(スペイン語)よりも先に英語を学び始めたり、英語の授業が母国語よりも多い学校も存在する。夏休みには、幼稚園、小学生からアメリカのサマースクールに入る子どもも。

【シンガポール】
 人口はシンガポール人、永住権者と外国人を足すと500万人。資源も少ない国であり、知的財産で国を支えるべく、子どもたちは生まれたときから競争社会に揉まれて育っていく。

 保育園から英語と中国語のバイリンガルで、小学校の授業は人種を問わず、英語で行なわれる。中華系、マレー系、インド系、その他は、母語である北京語やマレー語も必須である。英語は会話も文法もみっちり学び、放課後のカフェは、勉強する子たちでいっぱいになる。

 筆者が初めての海外に行ったのは、大学2年のカナダでのホームステイだった。同じクラスのメキシコ人やベネズエラ人のクラスメイトが、文法はめちゃくちゃなのに積極的に授業内で英語を話す姿を見て、日本人に足りないのは“自己主張”と“積極性”だと身をもって感じた。

 国によって英語教育への熱心度も違うが、共通して言えるのは、小学生のときから英会話を始め、英語に慣れる環境づくりをしていることだろう。

 日本でも2020年度からスタートする教育改革。小学校3年からの「英語教育」は、きちんと実践的な英語力が培われるような教育カリキュラムが組まれることを願うばかりだ。

(中森 有紀)
スペイン・バルセロナ在住。大学でスペイン現代史を専攻、在学中に1年間スペインに留学。大学卒業後、書店勤務と英語講師を経験した後バルセロナに移住。英語、スペイン語、カタルーニャ語、日本語の4ヶ国語を話す通訳&ライター。2児の母。趣味はサッカー観戦と肉まん作り。

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