これまで大学生活のイメージといえば、概ね「勉強、サークル、バイト」の3本柱で構成されていましたが、今、学生たちの世界はもっと広がっています。例えば、学生が主体となり、その活動を通して学ぶ“学生による大学広報活動“もそのひとつ。今回、そのような活動に積極的に取り組む大阪の摂南大学で、実際に同活動を行っている大学生たちに話を聞いてみました。
オープンキャンパスは学生たちの手で運営しています!
摂南大学内で“学生による大学広報活動”を実践する2つのグループをご紹介しましょう。そのうちの一つ「学生アドミッションスタッフ」は、年5回行われるオープンキャンパスで、さまざまなイベントの企画から運営までを担当する、学生たちの顔ともいえる組織。2006年度に発足、現在メンバーは60人を超え、一丸となって青春を燃やしています。
――具体的にはどんな活動をしているのですか?
上木くん「イベント・展示・プレゼンテーションと3つの班に分かれ、1年かけて準備します。それこそ、来場者に配るトートバッグやタオルのデザインから考えますよ」
北所さん「スライドを使って学生生活をプレゼン形式で発表したり、高校生たちを連れて学内を案内するキャンパスツアーなども行います」
中家くん「学内のすべてを頭に入れて高校生に伝えますので、隅々まで詳しくなるし、自分自身も大学がもっと好きになりました」
――印象に残る出来事はありましたか?
上木くん「最初に手掛けたプレゼンで何人かの高校生が寝ていたこと。ショックでした。僕らが作った内容は『大学とは』みたいな上から目線で、高校生が知りたいのは『友だちができるかな』などもっと身近なことだった。相手の立場になって考えることを学びましたね」
北所さん「キャンパスツアーに間に合わなかった女子高生2人を個人的に案内したこと。その後『摂南大学を受験することに決めました』と言いに来てくれたんです。すごくうれしかったですね」
中家くん「2年次でリーダーになったことです。人へ伝えることの大切さ、下級生から上級生までをまとめることの難しさなど、リーダーシップも勉強させてもらってます」
――この活動で自分が成長したことはありましたか?
上木くん「最初は指示されるままだったのが、自主的に動けるようになり、どんどん自分が変わっていくのがわかりました。憧れの企業から内定をいただきましたが、この4年間があったからこそと思っています」
北所さん「人前でしゃべるのが苦手でしたが、今では楽しく取り組めるように! 将来は旅行会社に就職したい夢も固まりました」
中家くん「全学部に友だちが出来て視野も広がるし、毎日の充実度がすごい。今では学生アドミッションスタッフ活動のない生活が想像できません」
女子高生に大学の魅力を発信!
もう一つのグループ「SETSUNAN GIRL’S PRESS
(SGP)」はその名の通り、女子学生による女子学生のための広報プロジェクトで今年発足したばかり。学生生活をホームページで紹介するブログ・動画チームと、冊子制作チームに分かれて情報を発信し、女子高生に大学の魅力を発信しています。
――SGP1期生としての活動を振り返って感想を聞かせてください
藤井さん「私のいる法学部は特に女子が少ないので、少しでも女子高生に興味を持ってほしくて参加しました。クラブ紹介のリポーターで動画出演することになり、最初は及び腰でしたが、意外とうまくできたんです!なんでもやってみないとわかりませんね」
一山さん「私は冊子の制作担当でした。どんなページにするかを考えたり、アポ取りからインタビューまで初体験の連続! こんな経験、なかなかできませんよ」
――印象に残っていることはありますか?
藤井さん「女子を呼ぶための魅力を探していたら、知らなかった大学のいい面を逆に教えてもらった感じ。オープンキャンパスで高校生と女子大生が交流した『女子カフェ』を企画・運営したことも印象に残っています」
一山さん「完成したサイトや冊子を見ると、達成感で感動しました。友達から誘われてなんとなく始めましたが、この活動がなかったら日常生活はつまらなかっただろうな。来年もまた絶対に参加したいです」
今回取材した5人は「ここは成長できる場所。なにより楽しいし、大学をもっと好きになった」と声をそろえていました。そんな彼らを、入試部の上田香代さんと下出太一さんは優しく見守っています。「最初は10人でスタートした学生アドミッションスタッフでしたが、今では私たちの手を離れ、オープンキャンパスも自分たちで運営するようになりました。SETSUNAN GIRL’S PRESS も1年目にして成果を上げ、頼もしい限り。最初は子どもっぽかった彼ら彼女らがみるみるうちに大人になっていく過程をみるのは嬉しいですね。苦手なことに挑戦したり、成功体験を得たことで何事にも積極的になれた。そんな経験の場になるよう、いつまでも応援しています」。
自主的に活動することで人間的に成長し、愛校心も芽生えた。この経験はきっと彼らの一生の財産となっていくに違いありません。